更新日:2025.11.19
公的支援
コロナ後遺症にかかると仕事がこれまで通りできなくなり、収入が減少したり退職せざるを得なくなったりすることがよくあります。いつまで続くかわからない体調不良の中、収入がなくなると将来の見通しが立たず大きな不安に襲われ、結果的にうつ病などの精神疾患を併発してしまう人もいます。そのような方をひとりでも減らせるよう、ここでは国や地方公共団体が行っている支援制度についてまとめていきます。
引用したサイトは※で示し最後にまとめてありますので、詳しく知りたい方はリンク先のページをご覧ください。またこのページを執筆するにあたり、きい様という方のブログも参考にさせていただきました(https://www.kiinoblog.com/)。こちらでは難しい制度について実体験を踏まえ、読みやすく解説されています。
なお、(まだ実現できるかわかりませんが)今後はモデルケースやフローチャートを作成し、このページの解説もよりわかりやすくしていきたいと考えています。ご協力いただける社労士や社会福祉士の方を募集しております!!
目次
労災保険(業務中にコロナに感染した場合)
業務によりCOVID-19に感染し、罹患後症状があり、療養等が必要と認められる場合には、労災保険給付の対象となります。労災保険の請求の手続等については、事業場を管轄する労働基準監督署にご相談ください。
全国労働基準監督署の所在案内:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html(※1)
また具体的な手順や入金までの期間については、こちらのサイトが参考になります。
健康保険(業務外でコロナに感染した場合)
業務外の事由による療養のため労務に服することができない場合には、健康保険制度の被保険者は、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
支給申請の手続については、ご加入の健康保険組合等にご相談ください。(※2)
障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
障害基礎年金は国民年金に加入している間、または20歳前(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に、初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やけがで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときに支給されます。
障害厚生年金は、厚生年金に加入している間に初診日のある病気やけがで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったとき、障害基礎年金に上乗せして支給されます。
また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。
なお、これらの年金を受け取るためには初診日の前日において、以下の要件を満たしている必要があります。(ただし、障害基礎年金について20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、必要ありません。)
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと (※3)
しかしコロナ後遺症は「目に見えない」病気であり、特に痛みといった症状は年金の制度的な問題点から実態に即さない認定がされることがあり、受給は困難であるのが現状です(参考:共同通信 2025.10.14「最重度の身体障害なのに障害年金が支給されないって、なんで? ほぼ寝たきりになった58歳女性「不合理で納得できない」https://news.jp/i/1345205817993920815?c=39546741839462401 2025.11.12閲覧)。また後遺症に対する医師の理解が浅く、申請に必要な書類を書いてもらえないといったケースもあります(その場合は一度こちらのページに書いてある病院を試してみてください)。
なお、今後このページでは実際にコロナ後遺症で障害年金を受給できた方の体験談も掲載していきたいなと考えています。もしご協力いただける方がいらっしゃれば、ご連絡いただけると幸いです。
障害者手帳
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)が続き、一定以上の障害が存在し、永続する場合、身体障害者手帳の交付対象となります。(※4)
手帳が交付されると、税金の控除、交通機関の割引、公共料金の割引など様々なサービスを受けられます。内容は自治体ごとに異なるため、詳しくはお住まいの身体障害者手帳交付窓口等にお問い合わせください。
こちらのミライロIDというアプリと連携すると、手帳をスマホに登録することができ、クーポンや割引価格のチケットも利用できるようです。
しかしコロナ後遺症はまだ医師間での理解が浅いことが多く、症状があるにもかかわらず診断書を記載してもらえないことがあります。その場合にはこちらの診断書の記入例を持参し、医師と相談してみてください。
また具体的な申請方法については、こちらの体験談が参考になります。
鍼灸の保険適用
医師に同意書を記載してもらい鍼灸師に渡した後、療養費支給申請書を提出するといった手続きが必要です。詳しくはこちらの体験談が参考になります。すべての鍼灸院で対応しているわけではないため、事前に確認することをおすすめします。
保険適用となる症状は、「慢性病(慢性的な疼痛を主訴とする疾病)であって保険医による適当な治療手段のないもの」、具体的には「神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症」と、これらと「同一範ちゅうと認められる疾病」に限られています(※7)。この制限はかなり厳しく設けられているようで、コロナ後遺症の中でも倦怠感・熱・不眠といった痛みと関係ない症状では同意書を書いてもらえませんでした。筋肉痛・関節痛・神経痛など痛みの症状をお持ちの方は、適用されるかもしれません。
しかし、これもまた医師によってはコロナ後遺症の理解が浅く、同意書を書いてもらえないことがあります。その場合はこちらのページで紹介した病院を受診してみてください。なお、オンライン診療では書いてもらえないようなのでご注意ください。
また、保険適用後の自己負担額についてはこちらのサイトが参考になります。
国民年金保険料の免除・納付猶予制度
・保険料免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納めることが経済的に困難な場合は、ご本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除されます。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
・保険料納付猶予制度
20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予されます。
これらの制度を活用することで、将来老齢年金を受け取れたり(免除の場合金額は減る)、保険料免除・納付猶予を受けた期間中に障害や死亡といった不測の事態が発生し一定の要件に該当する場合は、障害年金や遺族年金を受け取れたりします。手続きをせず未納のままだと、受け取れなくなってしまう場合があるので注意してください!(※8)
詳しくはお近くの年金事務所にお問い合わせください。
国民健康保険料の減免制度
国民健康保険料(税)の額を算定する際、法令により定められた所得基準を下回る世帯については、被保険者応益割(均等割・平等割)額の7割、5割又は2割を減額する制度があります。
詳しくは、市町村国保の場合はお住まいの市町村(特別区を含む)の国民健康保険の窓口まで、国民健康保険組合の場合は加入されている国民健康保険組合又は各都道府県の窓口までお問い合わせください。(※9)
出典
※1 厚生労働省 2025.4.25「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html 2025.11.12閲覧
※2 厚生労働省 2025.2.27「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html 2025.11.12閲覧
※3 日本年金機構 2023.3.1「障害年金」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html 2025.11.12閲覧
※4 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)による身体障害認定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51343.html 2025.11.14閲覧
※5 厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ」https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/ 2025.11.14閲覧
※6 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html 2025.11.14閲覧
※7 厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱い(保険医療機関及び保険医の皆様へ)」https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/05_01.html 2025.11.14閲覧
※8 日本年金機構 2025.9.11「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
2025.11.14閲覧
※9 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21517.html 2025.11.14閲覧














