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​更新日:2025.11.19

Performance status(PS)について

 

コロナ後遺症では「普段通り動けるが、少し疲れやすい気がする」程度から、「寝たきりで介護が必要」という程度まで、様々な症状の方がいます。自分がどの程度なのかを知るための基準として、現在は日本の筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の診断基準であるPerformance status(以下、「PS」)が使われています。

0:倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。
2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。
3:全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
4:全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
5:通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
6:調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7:身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。
8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。
9:身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。

(木谷照夫、倉恒弘彦(1992)「慢性疲労症候群」日本内科学会雑誌81巻4号573-582頁)

また、コロナ後遺症治療で有名なヒラハタクリニックでは、以下のような基準で診療しています。こちらのほうが簡略化されており、わかりやすいかもしれません。

0:何をしても症状が出ない

1:疲れることはあるがぐったりするほどの倦怠感は出ない

2:2日続けて数時間外出しても疲れない

3:屋外で自分のペースで10分歩いても疲れない

4:5分間立位で軽い作業ができる

5:3分間立位で軽い作業ができる

6:1分間立位で軽い作業ができる

7:家の中を10分程度歩く事が可能である

8:家の中を10メートル程度歩いて疲れない

9:歩行することが不可能である

​(平畑光一(2025)『コロナ後遺症~治らない"慢性不調"の正体~』扶桑社)

ペーシングについて

 

コロナ後遺症では自身の許容量を超えた負荷がかかると、クラッシュと呼ばれる現象が起き、3日以上寝込んでしまうことがあります。さらにこれが繰り返し発生すると、症状が悪化する場合があります。そこで、自分がどれだけ運動できるのかを把握し、"頑張りすぎない"ことが大切になります。

​以下、平畑光一医師が提示している「運動の目安・ペーシング」について紹介します。

​(「運動の目安・ペーシング」https://www.longcovid.jp/pacing.html 2025年10月22日閲覧)

PEM(Post-exertional malaise)について

 

​PEMとは軽い労作後やストレスのあと、5時間~48時間後に急激に強い倦怠感が出てしまう症状のことです。この症状がある場合、散歩で寝たきりに近づいてしまう事がよくあるため、PEMが改善するまで家の外での運動は避けなければなりません

(東京都医学総合研究所 2024.3.5「新型コロナ後遺症における「労作後倦怠感」発症のメカニズム」https://www.igakuken.or.jp/r-info/covid-19-info203.html 2025.11.3閲覧)

​多くの病気の場合外に出て運動したほうが改善するため、「たまには外に出なよ」「ずっと家にいるから具合が悪くなるんだ」などと善意で他人から言われることがあります(中には医者でさえそう指示することも)。しかし、コロナ後遺症は運動すると反対に悪化してしまう場合がある点に注意してください。

クラッシュについて

 

​負荷が許容量を超えると体が鉛のように重くなり、3日以上寝込んで動けなくなってしまうことがあります。(PEMと同義であるとする資料もありますが、ここではPEMが進み悪化した状態をクラッシュとします。)

PEMだけで症状が極端に憎悪することはあまりありませんが、クラッシュを繰り返し起こしてしまうと、容易に症状の憎悪をきたします。具体的にはより軽微な負荷で寝込むことが増え、実行可能な日常動作の減少をきたし、ADL(日常生活動作)に重大な影響を与えます。

​(平畑光一(2025)『コロナ後遺症~治らない"慢性不調"の正体~』扶桑社 24~25頁)

ブレインフォグについて

 

コロナ後遺症の症状のひとつ。脳の中に霧がかかったような広義の認知障害の一種で、記憶障害・知的明晰さの欠如・集中力不足・精神的疲労・不安などを含む症状をいいます。「頭がボーっとする」などの自覚症状が特徴的で、記憶障害・集中力低下などを伴うと、戸惑いや焦りだけでなく、日常生活や就学・就労、職場復帰などの妨げにもなりえます。​

​(厚生労働省(2024)『新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント(第3.1版)』33頁 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001422904.pdf

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